4/26/2013

マラカイ③



4月23日。
Malachiに遭った。超久しぶり。冬の間ずっと姿を見なかったのと声さえ聞かなかったのとで、もしかしてオーナーが手放しちゃったのでは、、と心配したくらいだった。でも、1ヶ月くらい前だったか、夫から彼の姿を見たと聞いていた。だから元気にしていることは知っていた。それに、いつだったかその後に夫と一緒に犬たちと散歩に行ったとき、彼の家の奥のほうから元気に吠えているのも聞こえた。しかし、姿を実際に見たのは本当に久しぶりだった。


あの男の子と遊んでいた。夫も言っていたとおり、少年はいくぶん背が伸びたようだ。マラカイも然り。どっしりと逞しく育っていた。フリーで遊ばせているところを見ると、かなりしつけも出来ているのかもしれない、そんなことを思った。
のが、大きな間違いだった。


少年は、わたしたちに気付いて、すぐにマラカイを呼び寄せた。あれ?声変わりした?と思うような、ちょっと低い声だった。ますますわたしは(勝手に)安心してしまった。そし て、そのまま普通に進んだ。D&Cもマラカイに気付いたようだったが、リーシュを短く握り、落ち着いて進んで行った。2頭とも、わたしと一緒にゆっくりと歩いてくれた。正直なところ、わたしはマラカイの姿を見て微笑む気持ちの余裕さえあった。ほほー相変わらず元気だわー良かったーー!なんてね。


わたし、マラカイは少年の元へ戻ったのだとばかり思っていた、その矢先、突然、でっかい黒いものが行く手を阻んだ。だーーー、、、マラカイだった。
はちゃー、駄目よあなた、ちゃんと帰りなさい。
このときもまだ気持ちにゆとりがあった。マラカイはすぐに少年が呼び戻してくれるだろう、大丈夫。そう思っていた。


しかし、マラカイ、てんで言うことを聞かない。なになになに?これじゃ去年のあのときとまったく同じじゃないか。マラカイ、いい加減にしなさい、早く戻って!心の中で叫ぶ。しかしマラカイは容赦なく執拗に追いかけてくる。追いかけるだけならまだ良い。追い越しては戻って来て、身体を伏せ、D&Cにけしかけるのだ、ほら、僕と遊ぼうよ!追いかけっこしようよ!僕は速いんだよ!つかまえてみてよ!そんな感じ。いかんいかん、去年より酷くなってる。大きくなった分だけ、自信がついたんだね。いかんよマラカイ、今は一緒には遊べないんだよ。

もちろんD&Cは面白くない。自分たちはリーシュに繋がれているのだ、追いかけたくたってそれは出来ない。しかもcoupler leashでの2頭引きだからね、尚のこと。一方が動けばもう一方も引っ張られる。案の定、そのうちD&Cとがガウガウ言い合う羽目に。そこへまたマラカイが近づいて来て中に割り込もうとする。2頭は狂ったようにマラカイに反応する。



マーーーラーーーカーーーーイーーーーーー!!!
少年は遠くから声を枯らして叫んでいる。マラカイはまったく聞いていない。おい少年、そんなところで呼んだって無駄だろう、こっちへ来なさい、何横着してんのよ。


その子は、わたしに向かって、僕の言うことなんか聞かないんだ、だからそのまま進んでってよ、なんて弱音を吐く始末。いやね、無視して進んでもね、マラカイが先回りして道を塞ぐのよ、見てたでしょう?そう思ったのだが、口にするのは止め、とりあえずなんとか隙を見て、先を進む。なるべくマラカイのことはなかったかのように振る舞って(ここが大事、たぶん、、、)2頭を連れて行く。





最初はうまくいったように思う。が、すぐにマラカイが後ろから飛び出してくる。わたしたちの周りをぐるぐるまわる。これじゃ進めないよー。

Uターンして逆戻りしてみた。とにかく、マラカイのいない場所へ進む(逃げる)のだ。しかしそれも無駄。彼はすぐさま駆けて来て、わたしたちの周りを囲むように駆け回り、けしかける。わたしたちは羊か!!さすが牧羊犬。こうやって追い込むわけか、、、


そんななか、立ち往生していた庭の家主が、わたしたちの様子をフロントポーチから見ていて、そこから「こっちへおいで」と手を振ってくれているのが見えた。わたしに向かって言っているのかそれともマラカイのオーナーに言っているのか。どちらにしても、マラカイの応酬が酷くてそれどころじゃない。


無視してそのまま進んでよ!


少年がまた言う。わたし、ちょっとムッと来る(大人気ない、、、)
やってるわよ、それでもすぐに彼が追いかけてくるんだもの!このときばかりはつい口にしてしまった(ますます大人気ない、、、)
見ると、行き交う車も、いちいち止まったり大きくカーブしたりして、その間をマラカイが駆け回っている。車の中から見てた人達はどんな顔をしていたのだろう。お笑いだっただろうか、それとも憤慨してただろうか。わたしはもう、そんなのを確認する余裕もない。


D&Cがガウガウ始まる。DeweyはCosmoに対し、いちいち反応するんじゃねぇ!と言っている。Cosmoはというと、てめぇは黙ってろ!てな感じか。Deweyの首筋にCosmoが噛み付こうとして、まぁその顔つきの恐ろしいことったら!いかんいかん、この顔のときは駄目だ、こいつ獣に戻ってしまってるーーーおーーい!!まーーーったく、なんであんた達が喧嘩しなきゃならないの!わたし、こんなの、嫌だからーーー!!わたしはわたしで、だんだん苛立ってきてD&Cに愚痴を吐く。
 

さて、幾度Uターンしたことか。もうどの方向でもいいから、とにかくマラカイを避けるべくずんずん進んだ。お願い少年、その間にマラカイを確保してちょうだい!そう祈りながら。

後ろを振り向くことは出来ない。そんな隙にD&Cが戻ろうとしたら良くないからね。Cesarがいつも言っている、どっしりと、落ち着いて。そうそう、落ち着け、エネルギーが大事。 一瞬の気の迷いが命取り(大袈裟)。

そうして、心のどこかでマラカイの気配を探りながら、どうやら近くにはいなさそうだと思ったとき・・・よっしゃ!ここで走ることにした。行くよ!2頭にそう声をかけ、D&Cとどんどん走る、ごいごい駆ける。とにかく先へ。付いてくるなよーーーマラカイーーお前は来なくていいからなーーー。


はぁはぁ言いながら、後方の様子を探るが、どうやら追いかけてくる感じはしない。息があがったところで、走るのをやめ、そろそろと歩きはじめた。このときそぅっと後ろを振り向いてみたが・・・マラカイの姿も少年の姿もない。

うわ、、、助かった、、、、



走ったのなんて、何年ぶりだろう。歩くことはあっても走ることはないもんなぁ。


いつの間にかD&Cも落ち着いてずんずんと歩いている。Cosmoの顔も、いつものきゃわいい、なーんも考えてないような顔に戻っている。こやつめ、、、。Deweyは、わたしの大腿部にそっとひっつきながら、時折こちらを見上げて、はっはっはっは、と歩いている。平和だーーー。



しっかし、散々な目に遭った。マラカイ、、、まーーーったく変わっていなかったじゃないか!!というか、さらに逞しく成長してくれちゃって、、、、
少年、あなたももちょっと成長してくれんと、、、



2頭を引きながら、しばらくこの散歩コースには来れないな、と思う。いや、ひとりのときは絶対に無理、でもスカさんと一緒だったら・・・よし、ここにはもうひとりでは来ない。そう心に誓う。自分、まだまだ未熟だわ。成長せなならんのは、少年だけじゃないみたいで。












4/24/2013

マラカイ②




さて、ここからは12月16日の話。


この日、娘と買いものへ出た。ちょうど目的地(Target)に着いたとき、義母から電話。うちの犬が外に出てると言う。そんなわけないよ、みんな家の中だよ、と言うのに義母はパニック状態で、隣のMrs.Rから電話があって、うちの犬の1頭が彼女の家の庭に入って来て大騒ぎになってる、と叫ぶ。えええええええ???
と、ここでわたしも軽くパニック状態に。

すると、一緒にいた娘が電話を代わりわたしから奪い取り、"Grandma, I was the one, who left home last, and made sure all the door were closed, our dogs should be inside." 諭すように伝える。
と、そのとき既に我が家まで様子を確認に来ていた義母、慌てて "Oh, okay, yeah, they are all inside, it wasn't Bruce, it looked like him, but yes, Bruce was inside."


それを聞いてピンと来た。マラカイ!マラカイがまた出て来ちゃったんだ!


マラカイの家とうちの家の間にはちょっとした森がある。マラカイはその森を抜けてうちのほうまで来るのだろう、樹々の間を駆けて、小川を渡り・・・きっとそう。



買いもの先から家に帰る前、義母のところへ寄った。義母に、マラカイの前の事件のことを話し、彼の写真を見せると(あの晩、携帯で写真を撮っておいた)、そうそう、この犬!!と笑っていた。その日は一日中雨降りだったせいもあり、とにかく酷い汚れとずぶ濡れで、"Oh, he was filthy!!"と言っていた。

あぁ、、マラカイ、、、
汚れてぐしゃぐしゃなマラカイの姿が目に浮かぶ。




隣のMrs.Rは、あの後、警察に連絡したらしい。彼女のバックヤードはわたしたちのようにフェンスに囲まれていない。そのまま森に繋がっている。そして、奥のほうに3頭の猟犬がいる。彼らは結構な広さの檻(と言っちゃ聞こえが悪いが)の中にいるのだけれど、マラカイがその周りをうろつき、4頭でガウガウ吠え合ってそれはもう大変だったみたい。
マラカイをつかまえるのは至難の技だしね、、、まぁ彼女にそんな義務もないわけで、、、。

警察は町のシェルターに一時的に連れて行き、その先はPawsという動物保護団体が世話&種々の手続きを行う。マラカイには身元のわかるタグがあるわけだからオーナーの元へ戻ることは確実だと思うが、 ん〜〜〜、こういうこと、何度も起きているのかもしれないなぁ・・・オーナー、マラカイのこと、あきらめて手放したりしないで欲しいけど、、、。



前回、結局、わたしのところへはあの後、なんの連絡もなかった。 まさかオーナー以外の誰かがうちの庭に入り込んでマラカイを盗んでいった・・???という考えも浮かんだが、いやそれはまずないだろう、と思い直した。わざわざ暗い中、あのマラカイを簡単に連れ出せるわけないし、それに、もしマラカイが自分のところへ戻って来ないのであれば、それこそオーナーは我が家に連絡してくるだろう、「お宅にうちの犬がいるんですよね?」ってね。



オーナー、かなり手こずっているのだろうな。うちに連絡もしてこないくらい、憤慨していたのか?それとも、余計なことをして、と思ったのか?よくわからない。お礼を言われたいとか、そういうわけではない。ただ、どうも腑に落ちない。確かにマラカイはろくでもない犬だわ。そらわかる。わかるがーーーーーーー。



「もしマラカイがシェルターにいるようになったら、そのときはうちで・・・」
夫の言葉に、それは無理!うちにはCosmoっちゅうBig Messがいるんだからね!と、釘を刺したわたし。そう言いながら、わたしの胸のなかもぐらぐら揺れてたまらない。








4/23/2013

マラカイ①



Malachi・・・マラカイ。
スペル、たぶん合ってると思う。
マラカイというのは、近所の犬。子犬。8ヶ月くらいだと前にオーナーが言ってた。Aussie Mix(毛色はBlack Tri)と思われる。




去年の11月20日、こんなことがあった。以下、日記より抜粋する。


・・・

14時半、まずBruceと散歩へ。散歩中、娘と電話で話す。
長話。Bruceを家へ連れ帰り、次にD&Cを連れて歩き出す。2頭引きだけど、携帯で話してても大丈夫。やんちゃなわりにはお散歩はしっかり出来るほうだと思う。


途中、オゥシー(mix?)と出会う。あぁこの子が!!初めて遭った!夫が前々から話してた子。彼は興味深そうに、わんわん吠えながら、でもパピィらしく空威嚇だけで、ある程度の距離からは近付こうとはせず、かと言って遠ざかるわけでもなく。
まぁとりあえず無視して歩き続けるのがいちばん、と思って歩いていくと、彼は近寄ったり遠ざかったりしながら付いてくる。というか、たまに先を行く。それでも、途中であきらめて帰るだろう、と無視していたら、急に車道のほうへ飛び出すので、わたしは思わず声を上げる。「車に轢かれちゃうよ!!」

ほぼ同時に飼い主が車でやってくる。男の子(13歳くらい?)が飛び降り、その犬をつかまえようとするが、まぁなんてこと、彼はひらりひらりと抜けて行く。まったくもって、お笑い。こら、Cosmoとおんなじ、厄介者だわ!


なんだかんだで、わたしが止まってみないと彼も止まることはないだろう、と、吠えるDeweyをなだめながら動かずにいる。と、やっと、男の子がその子の視界に入ったらしく、「帰るよ!」と言われて初めてそのかけ声に反応し、男の子と一緒に自宅のほうへ駆け出して行った。良かったー。


ごめんなさいね、と飼い主(父親)に言うと、いや、きみたちのせいじゃないよ、と言ってくれた。犬飼いさんらはこれだからいいね。何歳?あぁ、8ヶ月ってところかな。やっぱりね、パピィだなって思った。うちの夫がいつも言ってたの、あの子のこと、元気な犬ね。そんな話をして、別れた。


・・・



あのあと、11月27日(Pookieの誕生日の夜)にこの子が隣の家の庭に紛れ込んで来てて、それを知らずにうちの犬達をバックヤードに出したとき、フェンス越しに追いかけっこをして大騒ぎになった。


マラカイはYoung Puppyならではのハチャメチャさと、まったく躾されていないのとで、あの晩、つかまえるのに本当に苦労した。とにかく逃げる。つかまえてごらん、というように近付いては逃げる、の繰り返し。あのまま放っておくと、いつか道路に出てって車に轢かれる危険性もあると思って、辛抱強く、話しかけながらCome on, It's ok, I know you...そんな感じで彼から近付いて来るのを待って、やーっとつかまえたのだった。


どれくらい放浪していたのだろうね、とにかく汚れが酷いのとクッチャイ(!)のとで、、、出先の夫に連絡したら「家に入れなさい」と言われて、えっ、この酷い状態を!?と、躊躇したくらい。
結局、D&Cとの折り合いがうまくいかず、家の中へは入れられずにバックヤードに入れておいたのだけど・・・。


首輪にタグがあり、彼の名前と住所、電話番号が書かれていたので、オーナーにすぐに連絡を入れたのだが、あいにく留守番電話だったので、メッセージを残しておいた。マラカイを確保した経緯と、わたしの名前、住所、電話番号。

しばらくはフロントヤードでマラカイと一緒にオーナーからの電話を待った。なぜか、オーナーから連絡がすぐに来て、車で迎えに来るだろう、と思ったのだ。或いは、車でマラカイのことを探しまくっているかもしれない、とかも。
だけど、なかなか連絡が来ない。そのうち寒くなってきたしシャワーもしなくちゃならない、ってことで、とりあえずマラカイをバックヤードに放し(もちろんフェンスドアのロックを確認)、わたしだけ室内に戻った。


その後、オーナーからの連絡はなく・・・翌日は仕事だし、どうしたモンかと思いながら、とりあえず寝る前にマラカイの様子を確認するためにバックヤードへ行くと・・・彼はもうそこにはいなかった!ええええ、、、、!!
暗闇のなか、マラカイの名前を呼びながら探したわたし・・・逃げられるわけないんだけど、、と思いつつ、、、でもね、フェンスドアのロックがはずされてたのに気付いて、ぎょっとした。最初はマラカイがはずして逃げたのか?と思った。けど、あり得ない。Cosmoですら出来ないんだもの。って、非論理的だけど。

たぶんオーナー が来て、連れてったのだ、勝手に、何も言わずに。そうとしか思えなかった。


・・・なんだかなぁ、、、、


それでもマラカイのことが気がかりだった。どうか、オーナーが捕獲して、連れ帰ってますように。そう願いながら眠った。


これが去年の11月27日の話だ。