7/23/2014

家畜の如く




つい先週まで日本にいたってのが夢のよう。
なんだかんだ言いながら、こっちの暮らしにまた溶け込んでってる。なんだかなぁ。


今回、帰国時(こう書くと紛らわしいが、こちらへ戻って来たときの「帰国」時)の入管にかなり時間がかかった。これまではGカード保持者は米国市民と同じ列に並んで良かったと記憶していたのだが(家族が米国市民である場合は特にね)、永住者も他のVISAの人達同様に扱われ、機内で最後方のシートだったせいもあり、列の最後尾に。おかげで悠に1時間以上、かかった。
それだけならまだ良い。何人かいる入管の局員のうち、あの人には当たりませんように・・と願っていた人に大当たり。それでも笑顔で乗り切ろうと挨拶をしたのに、じろりと睨まれ、冷たくあしらわれ。
なんなんだろねぇ、この入国管理局の連中ってのは。そらおふざけでやれるような仕事ではないことはわかる。だけど、真面目に、ってのと不機嫌、ってのは全然違うでしょう。
とにかくその女性は不機嫌だった。フレンドリーでなくたっていい、ただ、「普通に」接して欲しい、そう思った。
ビビったせいもあり、「何か食物は持って来ているか」という質問に、「ええ、少し」と答えてしまった。頭ではNOと言えばいい、とわかっていたのだが。正直に話さないと、後から怖い、、と縮み上がってしまったのだった。「内容は」と聞かれ、うーん、春雨とか・・と答える。「それは何か」いわゆるrice noodle? マズい、その答え方はマズいよ!
「検疫に寄りなさい」ほーらね、、、がっくし。


米国市民列にて既に入管を済ませ待機していた娘と合流。すぐそこで事の始終を見守っていた彼女、「まさか食物もって来た、って言ってないでしょうね!」えー言っちゃったよ、、と返した途端、怒られた。「時間ないんだよ!」


検疫のお兄さんは、まぁまぁ優しかった。スーツケースを開けられるかな、と思ったがそれはなく、ただマシーンの中を通しただけ。そして、「一応説明させてくれ」と、検疫における種々の病原菌拡散防止についてをつらっと述べてくれた。わかってるわかってるって、と言いたいのを堪え、神妙に聞いているフリをした。

それからスーツケースを再度預け、手荷物を持ってセキュリティーへ。ここではとても大きな(身体も大柄だが態度も超横柄な)女性が担当だった。なんでそんなに偉そうにしてるわけ?と言いたいくらい。
彼女は、娘が出したペットボトル2本を指差し、NO,NO!と叫んでいた。あ、と思い出す。そっか、あれは駄目だったのか。一度、セキュリティを通った後だったので大丈夫かと思っていたのだが、駄目らしい。捨てちゃえばいいやと思っていたところ、娘が鋭い目つきでその女性を見返して(睨んで?)いた。え、え、良くないよ、良くない、従順にしてないとマズいって。そう思っていたらば彼女、「どこかこれらを破棄できるところはありますか?」と訊いていた。担当の女性は、あっあぁ、あそこへ、と返す。娘が流暢な英語を喋ることに戸惑った様子。わたしを待っていたので相当遅くなった彼女、まさか米国市民とは思わなかったのだろう。

娘の怒った顔を見て冷や汗をかいたわたしだったのだが、その後、走りに走ってようやく飛行機に乗り込み、一息ついたところで彼女の怒りを聞いた。入管で時間がかかったことに加え、あの扱い。娘曰く、「家畜並みの扱いだ」と。家畜か。なるほど言われてみたらそうかもしれない、と腑に落ちた。

米国は、テロ対策と称して善良な外国人を家畜の如く扱っている、と。それは大きな間違いだ、と。そんな方法は、ちっともテロ対策にはなっていない、と。それから、あの大柄な女性はロシア訛りの英語を使っていて、彼女だって第二国から米国に入った外国人であることを忘れ、他の外国人に対し無礼な対応をしている、と憤慨していた。なるほど、確かにそうだ、と思う。

わたしは短気なほうだが、そういうことにおいては生粋の日本人なのだろう。娘に指摘されるまではそれほど怒りはなかった。そういうモンなんだろう、と思った。まぁしょうがないか、と。

そういうところで、いや違うでしょ!と、思うところ、かつ、違うだろうと立ち上がるところは、娘が半分はアメリカ人である所以というか、アメリカ人的視点を持った人間である、というところなのだろうなぁと思った。


家畜かー。

妙に納得した言葉だった。


家畜はペットじゃないんだよなぁ。わたしはこの国ではまだまだ権利のない人間なんだなぁ。その辺り、もちっと意識して生きていかんとなぁ。